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コラム

本の要約動画は著作権侵害?注意すべきポイントとは

本の要約動画とは

最近、有名な書籍の要約動画がインターネット上で流行っています。ビジネス書や自己啓発書などの内容を短時間でわかりやすく説明してくれるサービスです。通勤途中や空いた時間に聞き流すだけで、本の大筋を理解できるという利点があります。時間のない人にとっては重宝するコンテンツですが、本の要約動画は著作権法に違反する可能性があります。

本の要約と著作権侵害

本の要約とは、本の内容を簡潔にまとめたものです。しかし、本の内容は著者や翻訳者の創作的な表現であり、著作物として法律で保護されています。したがって、本の要約は著作物の一部を改変したものとみなされ、著作権者の許可なしに公開することは著作権侵害にあたります。著作権侵害をした場合、著作権者から公開の中止や損害賠償請求をされる可能性があります。

過去にも、本の要約サービスを提供していた業者が著作権侵害で訴えられた事例があります。

例えば、コメットハンター社はインターネット上に多くの書籍の要約文を掲載したり、メールマガジンを発行していましたが、原告となった著者から差し止めと損害賠償請求をされ、全て認められました。(速読本舗事件

また、ウォールストリートジャーナル社は、同社の記事を翻訳要約してFAXで送信していた業者を著作権侵害で訴え、差し止めが認められました。(ウォールストリートジャーナル事件

現在も、本の要約サイトや動画は多数存在していますが、本の要約サイトで有名な「フライヤー」や本の紹介動画を配信している「中田敦彦のYouTube大学」などは、著者や出版社に事前に許可を得て配信を行っています。しかし、許可を得ていないものも多くあるようです。では、どこまでがセーフで、どこまでいくとアウトなのでしょうか?

アイデアと引用

本の要約動画は単純な要約ではなく、本の内容からアイデアや事実を抽出して自分の言葉で説明することができれば、著作権侵害にはなりません。アイデアや事実は著作物ではなく、自由に利用することができます。しかし、アイデアと著作物の線引きは非常にあいまいであり、判断が難しい場合もあります。

また、既存の著作物をそのまま利用して新たな著作物を作成することも可能ですが、その場合は引用という形で行わなければなりません。引用とは、既存の著作物から一部分を切り出して、自分の文章に組み込みことです。引用は文化的な発展に貢献するものとして、法律で認められていますが、以下のルールを守らなければなりません。

  • 引用元を明示する
  • 引用部分と自分の文章とを区別する
  • 引用目的が報道、批評、研究などであること
  • 引用方法や範囲が常識的であること
  • 引用される著作物の種類や性質を考慮すること
  • 著作権者への影響を最小限にすること

これらのルールは総合的に判断されるため、一概に引用した部分の割合や利益の有無で決められるものではありません。自分の言葉が「主」であり、引用した部分が「従」であることが重要です。

このように、本の要約動画を作成する際には、アイデアや事実を自分の言葉で説明したり、引用のルールを守ったりすることで、著作権侵害にならないように注意しましょう。

まとめ

いかがだったでしょうか。

本の要約動画を作るときには、著作権の問題に十分気をつけなければなりません。本の内容をそのまま要約するだけでは、著作権者の権利を侵害する恐れがあり、動画の削除や賠償請求を受ける可能性が高くなります。著作権トラブルを避けるためには、以下のことを守る必要があります。

  • 本の内容をアイデアのレベルまでかみ砕き、自分の言葉で表現する。
  • 「引用」の条件を満たす

しかし、これらを守っても著作権者からのクレームが来ることがあるので、注意が必要です。

本の要約動画を作成する際には、常に著作権者の立場や意思を尊重し、無断で利用しないように心がけることが大切です。